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神戸大.comインタビュー社長インタビュー(No.02 株式会社ABCダイニング 木下達也社長)

社長インタビュー 株式会社ABCダイニング 木下達也社長

(社長No.02)

株式会社ABCダイニング 木下達也社長

インタビュアー:林幸記、山口翔 ページ作成:林幸記

株式会社 ABCダイニング〜 木下 達也社長 × 神戸大.com
 
今回は、とうがらし料理がおいしい「赤ちり亭」、立ち食いらーめん「源屋」280円均一の焼き鳥屋「ちんどん」他、数々の飲食店を経営されている株式会社ABCダイニングの社長であり、飲食コンサルティング事業も手がける木下 達也社長ににインタビューしてきました!経営に関すること、社長業に関すること、学生に向けたメッセージなどいろいろお聞きしました!是非読んで、見て、感じてください!
お仕事の内容はどのようなものですか?
 
「今は大きく分けると2つで、飲食店の経営と飲食のコンサルティングをやってます。コンサルティングの方は、具体的には主に飲食店の立ち上げのお手伝いっていうのが多いですね。立ち上げに際して、まず物件の調査ですよね。それと、あとは物件が決まるとその他の交渉もご一緒にすることもあるしアドバイスをすることもありますし、その後にまた契約をして顧問という形でお世話させていただく場合もありますね。
神戸大.comスタッフ「飲食の経営実績とその経験、スキルを生かしてコンサルティングをされているんですね。」
なぜ数ある業界の中から飲食業界を選ばれたんですか?
 
元気の源 源屋のらーめん(sh_02_3)
 
「もともと母親の実家が九州の博多で長浜らーめんっていうのをやってたんです。当時は鶏がらのスープ、中華そばというらーめんが主流だった中で、九州の豚を使って、当時では斬新なとんこつらーめんを売ってたんですよね。その一番元祖って言われる「長浜屋」という店の系列で母親の弟が35年ぐらい前に開業して、母親がそのノウハウを使って平成元年に西明石という場所でらーめん店を開業したんですよ。で、僕は平成6年にこっちで甲南大学に入ったんですよ。それでその平成6年の9月に板宿っていうところに支店をオープンしたんですけど、平成7年の1月に阪神淡路大震災が来て、その時に板宿のお店が潰れてしまったんですよ、半壊してしまって。父親も会社を辞めて母親と一緒にやり始めてたんで家族の食いぶちだったんですけど、1500万円ぐらいかけてオープンしたお店がたった4ヶ月で潰れてしまってたちまち苦しくなってしまって。その1年後に再オープンするんですけど、その時に店長が「家族を養えない」と言って辞めてしまって、後任を新たに育てることができないということで、僕が大学を2回生で中退してこの業界に入ったんですよ。そこから親の会社の中で店長としてやり始めて、平成15年ぐらいに代表に就任して、平成18年に今の株式会社ABCダイニングを立ち上げて、今は会社を2つ経営してるんです。今年2つの会社を統合する予定です。
神戸大.comスタッフ「僕らと同じぐらいの年で既にそんな大変な経験をされていたんですね!」
苦しかった出来事など教えていただけますか?
当時19歳のとき、朝の8時に起きて9時にお店へ行き,仕込みをして11時に開店。深夜の1時に閉店後片づけをして2時に店を閉めて帰り、3時に寝るという生活を繰り返していました。しかし売り上げが思うようにあがらなかった。そんな中、自身の店に対して、初のコンサルティングを行うのです。
まぁ、そんな感じで始めた店長だったんですけど、売り上げが全然思うようにあがらなかったんですよ。それに、大学時代っていうのはやっぱり…恋愛とかね(笑)。 そのときの彼女にも『私は甲南大学の木下君と付き合ってるのであって、らーめん屋になるなら別れる!』ってフラれてしまうんですよ。そんな中でもらーめん屋さんをやって行こうって、頑張ろうって選択して、でも知らないことばっかりだし、全然売り上げがあがらなくて…。でも、そのとき同年代の子が二人社員として入ってきて、その子達は中華料理屋さんで働いていたので技術とかもあったので、『3人で24時間営業のお店をやろう!』」とうことでやり始めて、それがけっこう当たって。コンサルティング的に言うなら、24時間営業っていうのが告知になって、それが口コミで広がって。それといつ行っても店が開いてるっていう安心感がある。当時では24時間営業しているっていうのは少なかったので斬新さがあって、口コミが広がったんですよ。『おいしいらーめん屋さんがあるよ』じゃなくて『24時間やってるらーめん屋さんがあるよ』って。それで売り上げが2.5倍ぐらいに上がったんですよ。でも、朝の6時から昼の11時まではあんまりお客さんて来ないんで、実質的には営業時間は1時から6時までの5時間延びてないじゃないですか?だから、営業時間が長くなってお客さんが来るようになったんじゃくて、24時間営業にすることによって昼も含めた全ての時間帯の売り上げが伸びた。そのときは、必死で24時間営業に取り組んだだけだったんですけどね。今思えばそれが成功要因だったなーと思ってますけど。
神戸大.comスタッフ「立派に自分のお店をコンサルティングされたということですね」
 
そのときは必死に、コンサルティングとかっていう考えじゃなかったけど、商売っていうのはただ良い接客をするとか、良いらーめんを作るとかそういうことだけじゃなくて、こういうことも商売繁盛のきっかけになるなーと僕が勉強したことの一つではあるね。
神戸大.comスタッフ「なるほど!そのころからもう手腕を発揮しだしだしていたんですね。何か苦労したことなどありましたか?」
 
やっぱり24時間営業だったので管理が大変でしたね。深夜の3時に出勤が1ヶ月続いたこともあったし…今思えばなんでそんなシフトにしたんかわからへんけど(笑)。僕も若かったからそういう意味でお客さんに良い接客ができなかったし、なめられたりもしたし。僕や従業員が殴られて警察に事情聴取されたりしたこともあったし、お客さんがケンカしたり…大変でしたね。
神戸大.comスタッフ「それは本当に大変だったんですね」
 
飲食業界という競争の激しい業界において、生き残る術はどのようにお考えでしょうか?
 
飲食業界は競争が激しい。三ノ宮の駅前などは呼び込みもすごいし。割引情報誌への掲載など値引き競争もすごいんですよ。
神戸大.comスタッフ「その中で生き抜いていくにはどのような方法や考え方で競争しているのでしょうか。」
 
んーそれはなかなか難しいですよ、僕自身なかなか答えがあるようでないようで。単直には一言では区切れないですよね。ただ、生き残るということだけで考えれば、投資を少なくするというのが一つの方法じゃないですか。やっぱり飲食っていうのは投資が大きいじゃないですか?坪単価でだいたい計算すると、だいたい一坪あたり60万円から100万の投資がかかるんですよね。100坪でなら6000万〜1億でしょ?やっぱりそれなりの投資がかかってるんですよね。で、商売って言うのは投資と採算って言うじゃないですか?例えば、100円のお金をかけて110円かえって来ました。このとき110円の儲けって言う人は商売センスがない人ですよね。この場合普通に考えれば10円の儲けじゃないですか。この考え方が出来るのは非常に大切。で、ということは、5000万投資して営業利益が5010万になったときに10万の利益なんですよ。じゃあもっと経営者的に言うなら、この10万円の利益を出すのにどれぐらいの時間がかかるの?っていう話ですよね。5秒で儲けたならいいですけど、10時間かけて儲けたなら働いとった方がマシやいう話ですよ、お金稼ぐだけなら。それなりに就職したら1年で300万とか稼げるわけじゃないですか。そこを商売で稼ごうっていうのはなかなか難しいもんですよ。商売で長続きするためには投資と採算を常に見越していかないと、やっぱりダメですよね。
神戸大.comスタッフ「思っていた以上に経営とは大変なんですね。とても参考になります。そのような考え方は経営者としての感覚は店長として経験を積む上で磨いたものでしょうか?」
 
社長インタビュー 木下達也社長 インタビュー風景(sh_02_2)
 
「いやいやそれはもう日々勉強というか、かなりの本を読んだし、僕自身ずっと現場に入っていたから勉強することができないわけじゃないですか。それで自分の知識がないのが悔しいから、よく人が2時間かかる仕込を1時間で終わらせて店の端っこで本読んだりしてましたよ。あと、僕は飽き性なんで一つの本を根気良く読むのは無理だったのでカバンの中に本を2、3冊入れておいて、15ページずつ読んだらまた違うのを読んでっていう工夫はしてましたね。だからけっこう本は読んでました。あとはよく人に会ってましたね。最初19歳とか20歳のときは知らないことばかりなので、しょうもないとこから質問したりしてましたね。今もサラ金以外の営業の人たちには会うようにしてますよ、自分が知らないようなことをたくさん教えてくれるんますから。今はインターネットがあるから便利だけど、当時は調べたいものがあるなら本か人に聞くしかなかったですからね。
神戸大.comスタッフ「うわぁ(驚。よく見たら本棚に本が200冊ぐらい置いてある…。やはり、大変な量の勉強をされてきたんですね。」
 
あとは、飲食に関して、大事なのは…どうでしょうね〜…。例えば差別化するって言っても難しいですよね。例えばうちの場合で言えば『赤ちり亭』は投資と採算の関係からいくと、どうしても初期費用の回収に3年から5年かかってしまうんですよね。でも、赤ちり亭は唐辛子料理が売りじゃないですか?そういう意味で差別化はあるんですけど、少し奇抜さがあるから長続きしにくいんですよね。最初、新規オープンしたときはお客さんが物珍しくて来てくれるけど、ちょっとリピーターがつきにくいという場面もあるでしょうし。だから、やっぱりらーめん屋さんとか焼き鳥屋さんとかそういうベタな商売が良い。その中でどのように差別化するか。これは重要ですよ。業態と言う意味であんまり差別化をしていくと、それは奇抜になっていくから、奇抜になってくると今度それを受け入れるターゲット層が狭くなっていくから難しくなってきますよね。だから差別化っていうのも奥が深い。
神戸大.comスタッフ「飲食店の差別化は、とても難しいんですね。では飲食店で差別化するためには具体的にどのような方法があるのでしょうか?」
 
そうだね、例えば、らーめん店の『源屋』で言えば立ち食いですよね。あとはらーめんが500円ていう安い価格ですよね。神戸以外で立ち食い500円ていうのはあんまり見たことないですよね。あと、「ちんどん」ていうお店では全品が280円均一。ビールも大ジョッキで発泡酒、普通の生で中ジョッキ、ちょっと高級なエビスで小ジョッキという風にして価格の統一化したりしてますね。まぁこんな風に差別化してますね。
 
神戸大.comスタッフ「大変参考になります。ところで一つお聞きしたいのですが、飲食店はリピーターさんが大事だと思うんですけど、リピーター獲得のための決定的な何か手段のようなものはあるのでしょうか?」
 
お客さんの事前期待を上回ることですね。お客さんは最初はあまり見せのことを知らないまま来てくれるけど、2回目以降はある程度の情報はもってるわけですよね。その事前期待を毎回どうやって上回っていくかですね。でも、確かにリピーターをつけるっていうことは非常に大事なことなんですけど、実は儲かっているお店っていうのは統計をとれば7:3で新規客の方が多いんです。だから儲かるためには常に新規のお客さんを開拓することが重要なんですよ。
神戸大.comスタッフ「普段何気に入っている飲食店にもいろいろな経営的要素があるんですね。」