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神戸大.comインタビュー教授インタビュー(No.01 吉本雅彦先生)

教授インタビュー 吉本雅彦先生

(教授No.01)

吉本 雅彦 先生
(神戸大学工学部情報知能工学科)

インタビュアー:林幸記 ページ作成:安田浩輔

CS28ではどのような研究をしていて、将来的な目標はどのようなものですか?
教授インタビュー 吉本雅彦先生 インタビュー風景(ky_01_2)
「CS28の研究ターゲットというのは、コンピュータのウェアラブル化、ユビキタス化、動知化に向けたVLSIプロセッサの先端的なアーキテクチャおよび回路設計技術研究です。これらはすべてコンピューターのトレンドなのですよね。コンピューターのトレンドは大型コンピューターからWS(ワークステーション)、パソコン、ポータブルノートPCそれからウェアラブル・ユビキタス・動知化というふうに進んできています。ウェアラブルコンピュータは身につけることでヘッドマウントディスプレイを通してユーザに適切な情報を与え、ユビキタスコンピュータは身の回りの環境に埋め込まれたまま人に便利さや心地よさを提供し、また、知能ロボットは人の気持ちや意図を理解し行為を創生して動く、つまりコンピューターの動知化であり、そういう方向にコンピューターのトレンドは進んできています。いずれにしても性能と精度を維持しながら限られたパワー条件の中でEnergyEfficiencyを上げていかなければならない。すなわち、ウェアラブル・ユビキタス・動知化という社会のニーズを満たすためのキーワードは、人への優しさ・ダウンサイジング・EnergyEfficiency(Ultra Low Power)。人への優しさとは、人やモノの状況、その周辺環境等を認識し、利用者の状況に即したサービスを提供し、より安全・安心・豊かな生活を支援すること。そのためにはコンピュータは人の気持ちを理解できないといけない。理解するというのは今までの画像・音声認識だけではダメなんですよね。
教授インタビュー 吉本雅彦先生 インタビュー風景(ky_01_3)
今の音声認識というのは、何を言っているかという事をただ淡々とテキストに変えていきますよね。画像認識だと、人がいるとかいないとか、あるいはこの顔の人はだれそれさんだとか、そういう認識はできてもその人が話をするときにどんな意図や気持ちでいるのかは理解できないでしょ?それを可能にし、かつそのコンピューターが携帯できるほど小さく、そして低消費電力でないといけない。今でも携帯電話の中には、ひとつのコンピューター、小さいけどものすごくパワフルなコンピューターが入っている。その性能を何桁も上げていかないといけない。それでね、この左の図は横軸に年度をとって縦軸にPower Efficiencyをとっています。ロボットの知能がドンドン上がっていくにはパフォーマンスを上げていかなければならない。今が2010年とすると 2050年にロボットと人がサッカー(RoboCup)をするには今の性能から5ケタ以上能力を上げないといけない。1秒に1000兆回の演算ができないといけない。もしロボットに供給される電力が100ワットしか許されないとすると、1つの演算にかかるワット数は5桁下げていかなければならない。これが Energy Efficiency上げていくこと。そしてこれがCS28の研究テーマです。
教授インタビュー 吉本雅彦先生 インタビュー風景(ky_01_4)
それで、どうやって実現するかと言う話なんだけど、右図は2004年にIEEEComputerという雑誌に掲載された図ですが、インテルのマイクロプロセッサのパワーっていうのはどんどん上がっていて今は数百ワット近くにまで上がっている。でもモバイル機器に許されるピークパワーっていうのは75ミリワット。ものすごい開きがあるんだよ。だから今まで通りのコンピューターの設計をしていたんではとてもこんなことは実現できない。ではどうするかというと、アルゴリズムだけでもダメ、アーキテクチャだけでもない、回路技術だけでもない、全てにまたがる協調設計研究をしなければいけない。そうすることによって世界最高のエネルギー効率を有するプロセッサ技術を実現することがCS28の目標なんです。」
画像認識だと、人がいるとかいないとか、あるいはこの顔の人はだれそれさんだとか、そういう認識はできてもその人が話をするときにどんな意図や気持ちでいるのかは理解できないでしょ?それを可能にし、かつそのコンピューターが携帯できるほど小さく、そして低消費電力でないといけない。今でも携帯電話の中には、ひとつのコンピューター、小さいけどものすごくパワフルなコンピューターが入っている。その性能を何桁も上げていかないといけない。それでね、この左の図は横軸に年度をとって縦軸にPower Efficiencyをとっています。ロボットの知能がドンドン上がっていくにはパフォーマンスを上げていかなければならない。今が2010年とすると 2050年にロボットと人がサッカー(RoboCup)をするには今の性能から5ケタ以上能力を上げないといけない。1秒に1000兆回の演算ができないといけない。もしロボットに供給される電力が100ワットしか許されないとすると、1つの演算にかかるワット数は5桁下げていかなければならない。これが Energy Efficiency上げていくこと。そしてこれがCS28の研究テーマです。
将来どんなことがやりたい学生向けの研究室なんですか?
このウェアラブルコンピュータや、ユビキタスネットワークだとか、知能ロボットはこれからの日本を支える産業で、世界のIT業界で日本が強い競争力を持てる技術分野なんですよ。この技術を維持しながらこれからの将来世界で勝ち抜いていくときの、産業界の技術リーダーになれる人、こういう人を育成したいんだよ。でも誰でもなれるわけじゃなくて、素質と努力と熱意がいるよね。今は、ハードに特化した人材、ソフトに特化した人材を育てようとする風潮もあるんだけれど、僕はそれは間違ってると思う。
神戸大.comスタッフ「産業界の技術リーダーになれる人を育成したいのはなぜですか?」
僕はメーカーから来てるので思うけど、そうゆう水平的な分業をすると、勝てる製品ができない。例えば携帯電話なら、画質の良さだとかバッテリ持続時間だとか信頼性だとか、総合力でもって勝てるものを作っていかないといけない。そのときに一人の人間がこれを全てやるのかって言うとそうじゃないわけですよ。実際にはプロジェクトを組んで何百人もの人がやるわけで、そのときはもちろん技術の分野ごとに分担するんだけど、そのときのリーダーはアプリからデバイスまで、あるいはソフトからハードまで全ての技術階層に知見がある必要がある。しかしそのプロジェクトリーダーが今、決定的に足りないんですよ!そんなリーダーはその企業の宝なんです。だから、学生のときから複数の異分野技術に興味を示し、かつ市場動向にアンテナ感度が高く、熱意のあるビジネスマインドを持った人が産業界に出て行ってほしいし、そうゆう人をCS28で育てたいと思っているんですよ。